この記事では、
- オーストラリアに留学予定
- 海外旅行保険についてお悩みの方
に向けて、オーストラリアの医療事情、OSHC、海外旅行保険の選び方などについて、ご説明いたします。
※海外旅行保険は、旅行という文字が入っていますが、旅行だけでなく留学やワーホリ等も含みます。本記事では留学時の保険を海外旅行保険として表記します。
まず大前提として日本では…
日本の医療制度は「国民皆保険」制度なので、皆さんは何かしらの公的医療保険に加入しています。
このお陰で、
- 支払う医療費は、総医療費の3割(年齢により異なる)
- 支払う医療費の上限がある(所得により異なる)
ので、医療費が数百万円かかるということは保険適用外の治療(自由診療)でない限りあり得ません。
財政面などで問題があると言われますが、誰もが良質な医療を受けられるとても素晴らしい制度です。
しかし、オーストラリアでは、日本の医療保険制度は適用されませんので(海外療養費制度を除く)、留学中は海外旅行保険の加入を検討する必要があります。
オーストラリアの医療制度
オーストラリアは、日本の国民皆保険制度と同じような「メディケア」という公的医療保険制度を採用しています。
このメディケアによって、一般開業医と呼ばれるクリニック(GP)の受診や公立病院での医療費は無料となります。
ただし、留学で渡航する場合はメディケアの対象外となります。
オーストラリアでの医療機関の受診の流れ
オーストラリアの医療機関は4つに分けられます。
- GP(General Practitioner)
- 専門医(Specialist)
- 病院(Hospital)
- 薬局(Chemist)
オーストラリアでは、どのような症状でも(歯科・緊急の場合を除く)、まずはGPと呼ばれる医療機関を受診します。
そしてGPが入院や手術、専門性の高い治療が必要と判断すると、紹介状を書いてくれるので、専門医(Specialists)や病院を受診するという流れになります。
日本では、初めから私たち患者側が整形外科や皮膚科等、直接専門医を選んで診てもらうことができますが、オーストラリアではとにかく最初はGPに行きます。
病院は、入院や手術が必要な場合に受診するところです。
薬に関しては、オーストラリアは医薬分業制なので、医師の出す処方箋を持って薬局で処方してもらいます。
オーストラリアでの医療費
オーストラリアでの医療費はいくらくらいかかるのか、見ていきたいと思います。
救急車の利用
日本では救急車の利用は無料ですが、オーストラリアでは州によって異なります。
ビクトリア州 | $1,306 | Metropolitan Emergency Road |
ニューサウスウェールズ州 | $813 +1km毎$7.34 | Call-out + Variable rate |
クイーンズランド州 | $1,410.91 | Emergency transport Code 1 and Code 2 (flat rate) |
西オーストラリア州 | $1,072 | Life threatening (Emergency – Priority 1) |
有料の州では、 $1000〜$1500近くかかることが多いようです。
無料の州もあります。
保険金の請求事例
オーストラリアにおいて、急なケガや病気で海外旅行保険の保険金を請求した実際の事例をご紹介します。
支払保険金 | 事例 |
---|---|
336万円 | 月経不順を訴え受診。子宮内膜症と診断され4日間入院・手術 |
441万円 | 視力低下を訴え受診。網膜炎と診断され16日間入院・手術 |
610万円 | ホームステイ先の庭で遊んでいて木から落下。手首・肘骨折と診断され10日間入院・手術。家族が駆けつける。 |
670万円 | 寒気を感じ受診。熱中症・肺炎と診断され18日間入院。家族が駆けつける。 |
1,461万円 | スノーボードのジャンプで着地に失敗しヘリコプターで搬送。腰椎骨折・脊髄損傷と診断され16日間入院・手術。家族が駆けつける。看護師が付き添い医療搬送。 |
2,402万円 | ホテルの4Fの窓から転落。駐車場の車の上に落下。下肢骨折、意識不明となる。 |
ジェイアイ傷害火災保険株式会社「海外での事故例」、AIG損保「海外旅行で身近に起こるトラブルの具体例」より
これら全ての事例が、日本で起きたことだった場合…
先述のように、公的医療保険のおかげで、仮に医療費が100万円かかっても、医療費が支払ことができないほど高額になることはありません。
しかし、ことオーストラリアで留学中にケガをしたり病気になった場合は、数百万円〜数千万円の医療費の支払いになることがあります。
海外留学生用医療保険:OSHC
オーストラリアへ留学、つまり学生ビザを保持する場合、その期間はOSHC(Overseas Student Health Cove)と呼ばれる海外留学生用の医療保険に加入しなければなりません。
これは、オーストラリアの民間保険会社が販売する医療保険です。
名前の通り、「医療保険」なので、ケガや病気の医療費の補償だけの保険です。
注意が必要なのは、保険での補償は、オーストラリアで定められた規定の給付額の範囲内であるということです。
各治療費等の医療サービスは、MBSとよばれる、メディケア給付スケジュール(Medicare Benefit Schedule)で定められており、これを超える医療費は自己負担となります。
海外旅行保険の役割
OSHCに加入するため、賠償責任や持ち物の補償等、OSHCで補償がない部分を日本の海外旅行保険で補いたい、というお問い合わせも多いのですが、
海外旅行保険は、留学中の
- 急なケガの医療費
- 急な病気の医療費
を補償することがメインの保険なので、この部分はOSHCと補償が重複します。
したがって、以下のような
- 持ち物が盗難された場合
- 他人をケガさせた場合(賠償)
- 歯科治療費用
- 緊急一時帰国費用
などの補償のみの契約はできません。
具体的には以下のような補償があります。
補償項目 | 内容 |
---|---|
傷害死亡 | ケガが原因で死亡した場合の補償 |
傷害後遺障害 | ケガが原因で後遺障害を負った場合の補償 |
治療・救援費用 | ケガ・病気の医療費の補償 |
疾病死亡 | 病気が原因で死亡した場合の補償 |
賠償責任 | 他人の物を壊したり他人をケガさせた場合の補償 |
生活用動産 | 持ち物の盗難、火災等で損害を受けた場合の補償 |
航空機遅延 | 航空機が遅延した場合の補償 |
航空機寄託手荷物遅延 | 航空機に預け入れた荷物が受け取れなかった場合の補償 |
歯科治療費用 | 歯科治療を受けた場合の補償 |
緊急一時帰国費用 | 日本の親族が死亡・危篤となり日本へ一時帰国する場合の補償 |
このようにケガ・医療費の補償である「治療・救援費用」を主に、死亡時の補償や持ち物の盗難等の補償があります。
このような補償の中から、
- どの補償が必要か
- 補償の保険金額(支払限度額)をいくらにするか
を決めていきます。
オーストラリア・留学の保険料(1年)
海外保険コンシェルジュで取り扱いのある保険会社のプラン例です。
補償内容 | プラン例1 | プラン例2 |
傷害死亡 | 500万円 | 500万円 |
傷害後遺障害 | 500万円 | 500万円 |
治療・救援費用 | 1,000万円 | 1,000万円 |
疾病死亡 | 500万円 | 500万円 |
賠償責任 | 1億円 | 1億円 |
生活用動産 | ー | 40万円 |
保険料 | 182,530円 | 206,460円 |
- プラン例1は生活用動産なし(持ち物の盗難等の補償)
- プラン例2は生活用動産あり
このように、補償を付け足していくと、保険料がプラスされていくので、
- 予算
- 必要な補償
に応じて選ぶプランが変わります。
例えば、予算があまりないので、ケガや病気の医療費の補償だけは最低限付けておきたいという方、
保険料が20万円超えても良いので、全ての補償を満遍なく付けておきたいという方、
いろいろな考え方があると思いますので、ご自身に必要な補償を確保しつつ、いくらまでなら保険料を支払って良いか考えてみてください。
保険会社による保険料の違い
海外旅行保険は各損害保険会社で販売されています。
しかし、同じ補償内容でも保険会社によって保険料は異なります。
例えば2023年5月現在で、1年間の保険料は18万円〜27万円といった具合に保険会社や補償内容によって開きがあります。
海外保険コンシェルジュでは、複数の損害保険会社の海外旅行保険を取り扱っていますが、保険料、サービス体制の充実等を踏まえ、
保険の期間が6ヶ月未満のお客様へは、
- 損保ジャパン
- 日新火災
- 東京海上日動
- ジェイアイ
保険の期間が6ヶ月超のお客様へは、
- 東京海上日動
- ジェイアイ
の保険会社のプランを主にご提案しています。
保険会社によるサービス提供の違い
海外旅行保険では、保険会社がさまざまなサービスを提供しています。下記は一例です。
365日24時間、日本語で対応可能な窓口があることは大変心強いです。この部分はOSHCと異なるところですね。
医療相談サービス(日本語)
医療相談サービスでは、24時間365日、医師や看護師にケガや病気の対処方法を相談することができます。
キャッシュレスでの受診
各保険会社、オーストラリアで提携している病院があります。保険会社と提携している病院での受診は、保険会社が病院に医療費を支払うことができるので、皆さんは医療費の支払いなしに受診することができます。
救援者のサポート
万が一、皆さんがオーストラリアで3日以上入院された場合等、ご家族の方がオーストラリアへ駆けつけるために費用は「治療・救援費用」の救援費用の部分で補償の対象となります。航空券・宿泊施設等の手配を保険会社が行います。
まとめ
オーストラリアの医療制度やOSHC、海外旅行保険について説明いたしましたが、重要なのは、
- オーストラリアの医療費は高額
- 海外旅行保険は予算と必要な補償を考えながら検討
ということです。
ケガをしたときや病気になったときなど、日本にいる場合とは事情が異なりますので、万が一の際に保険会社がサポートがあるのは非常に助かると思います。
また、海外保険コンシェルジュでは、渡航前の保険のご相談からご契約、ご帰国までサポートしています。
OSHCに加入する場合のオススメの海外旅行保険はHP上では掲載していませんので、LINE等でご相談を受け付けております。ご遠慮なくご相談くださいませ😊